カフェオレボウル



9世紀の頃、ボウルはスープをスプーンですくって飲む時に使う器でしたから、もっと大きなものでした。20世紀が近づいて、フランスの家庭にコーヒーが普及し、朝食にカフェオレが飲まれるようになると、両手で抱えて飲めるように小ぶりなボウルが作られるようになりました。
カフェオレ用のボウルには、熱いものをいれても持ち上げられるように高台がついています。フランスのカフェオレボウル製造の最盛期とも言える20世紀初頭には、大きさや色のバリエーションが増え、絵柄を切り抜いた型を使って絵の具を吹き付けするステンシル手法のデザインパターンも、次々と生み出されました。また、その頃フランスの植民地下にあったモロッコ王国では、幾何学模様のモザイクデザインのステンシルパターンが多く使われました。可愛らしく、かつ甘すぎないそのデザインは、今でもとても新鮮に感じます。当時からオリエンタルなニュアンスを適度に生活に取り入れていたフランス人のお洒落な感性には、やっぱり感心してしまいます。
カフェオレボウルは、サイズを使い分けながら、サラダを盛ったり、ジャムを入れたりもして、朝のテーブルを賑やかに彩りました。もともと食器を持ち上げて使う習慣のないフランスで、カフェオレボウルは、両手で抱えて持ち、人のものと区別して自分用のものが決まっている唯一の器なのだそうです。コーヒーカップが主流に変わった今でも、たっぷりとおおらかなカフェオレボウルは、懐かしい時代や、温かい家庭を思い起こさせる特別な器であり続けています。
倉敷意匠のカフェオレボウルは、アンティークの素材感や形をできるだけ再現したものです。フランスの一般的なカフェオレボウルより、少し小さめの日本人の手に合うサイズです。とろりとした質感を出せるよう、陶土と釉薬にもこだわっています。ステンシルは金型を使って、1個のボウルにつき3〜4箇所に分けて絵付けをします。ゴム印押しや手描き手法のボウルも含め、豊富なバリエーションを楽しんでください。