くるみの木蓋 (line トレイ用) 販売終了
商品コード:70075-01

line トレイ用の木蓋です。
上にのせて使います。密閉性はありません。
商品仕様: w23.2×d4.4×h1.1cm
商品説明: 磁器作家のイイホシユミコさんは、ろくろを引いて自分の作品を制作しつつ、プロダクト製品のプロデュースも行ないます。ところが一見すると、両方とも工業製品のように見えてしまって、どちらが手づくりでどちらがプロダクトなんだかわからないのです。
「作りたいのは、手づくりとプロダクトの境界にあるもの」とおっしゃるイイホシさんの作品には、「ひとつひとつに揺らぎや歪みがあってこそ手作りの味わいだ」などという曖昧な美意識が通用しないのです。
「手づくりのものは作り手の手跡が残らないように、プロダクトのものは味気なくならないように」と常に心に言い聞かせながら、うつわと向き合い続けています。
若い頃からうつわが大好きで、雑貨メーカーに勤務しながら陶芸を学び始めました。うつわを作るプロになると決めて、美大に入学した時は、30歳を過ぎていました。「いつかああしようではなくて、やるなら今だと思う」と、毎日作って、毎日使う日々の中で気づいたのは、いつも人の手の跡を感じることはなんだか重たいということでした。知らず知らずのうちに、手づくりでもなく大量生産でもない、その中間にあるものが作れたらと考えるようになっていたのだそうです。
ですから、手づくり作品についても、同じサイズ、同じかたちであることを目指します。内径と深さを測るための『トンボ』や、角のアールをそろえるための『コテ』など、1アイテムごとに専用のサイズの器具を使い分けながら、慎重に仕上げていくのです。
イイホシさんにとってのうつわは、『作品』ではなく『ツール』なのだと思います。けれど、単に食べ物を盛るためだけの道具という意味ではないのです。暮らしの中で、そのうつわを使うことが、記憶を思い起こさせる装置ともなり得る道具なのです。ふと気がつくと、ある日のある場面がよみがえっているような、どんな料理だったかや、いっしょに過ごした大切な人たちの姿が映り込むようなうつわであってほしいと考えているのです。だから、そんなうつわの中に作り手の気配を残すことは余計なことなのでしょう。
そして、イイホシさんのうつわには、すべて名前がついています。旅先の部屋でその土地の花を一輪生けるための花器には、『ボンヴォヤージュ』。朝、昼、夜のそれぞれの時間に似つかわしいサイズを選ぶマグカップシリーズには、フランス語で1日ということを意味する『アンジュール』。なるほど、その名前を聞くだけで、テーブルの上の情景が目の前に浮かぶような気がしますね。
一時的に感じる無機質な印象は、けっきょくはどんな空気の中にあっても邪魔をしないということ、いつの日の気持ちにも寄り添ってくれるということにつながるはずです。イイホシさんのうつわを一度手にすると、無理なく使えることの心地よさや、使うほどにじわじわと深まる愛着を、そっと教わることになるでしょう。
「今は作ることが一番大切」だから、仕事が立て込んでくるとキャンプ用の簡易ベットを持ち込んで、アトリエに寝泊まりするのだと言うイイホシさん。すでに多くの共感を得ているわけなのですから、手づくりかプロダクトかに専念すれば、どんなに楽になるかも知っているはずです。けれど、片方を選ぶことで、双方の良さを自分自身で感じられなくなることが困るのだそうです。「プロダクトの作品を手がける時にも、私はデザイナーではなくて作り手ですから。」
ご自分では「いつも壁にぶちあたっています」とおっしゃるけれど、いつお会いしても穏やかに見えるのは、「絶対にやめない」というキッパリとした覚悟があるからでしょうか。手づくりであってもプロダクトであっても、道具とはいかなるものであるべきか、自分の手で作り続けることでしか答えは得られないのかもしれません。
イイホシさんのうつわとの格闘は、これからも変わりなく続き、ゆっくりであっても確実に、伝えたいことをかたちとして残していくことでしょう。
小売価格: ¥935
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イイホシユミコ
兵庫県生まれ。
龍谷大学短期大学卒。
京都嵯峨芸術大学短期大学陶芸科卒。
卒業後、yumiko iihoshi porcelain の名前で、全国取扱店他、個展で作品を発表。
伊丹クラフト展酒造組合賞受賞・朝日陶芸展入選・神戸ドラフト3!クリエーターセレクション最終選考通過。