遊佐刺し子 角型ピンクッション (花亀甲) 販売終了
商品コード:64052-05

遊佐の刺し子でお針刺しを作りました。
商品仕様: 約w5×d5×h2.5cm 綿生地、シリコン綿
商品説明: 寒さの厳しい土地には綿花が育ちませんから、東北に暮らす人々にとって綿布はたいへん貴重なものでした。そのため、江戸時代の農民は木綿を着ることが許されず、麻の衣服しか身につけられなかったのです。しかも、裏地をつけることさえ禁じられていたのだそうです。衣服に総刺しの刺繍を施す「刺し子」は、そうした過酷な暮らしの中で、農民たちが生み出した知恵と言えるものでした。それは、衣服を長持ちさせるための補強の意味でもあり、生地を二重にしたのと同じ防寒効果を持たせることにもなったわけです。
やがて、明治時代の半ば頃になると鉄道が敷かれ、安価で大量の綿布が流通するようになりました。むろん手間のかかる刺し子は徐々に衰退していきますが、この美しい手仕事に魅せられた一握りの人々にささえられ、かろうじてその技術が伝えられ続けてきたのです。
東北地方に伝わる刺し子の伝統には、大きく分けて3つの流れがあります。津軽では「こぎん刺し」、南部(青森県南東部から岩手県中部)では「菱刺し」、庄内地方では「庄内刺し子」と呼ばれ、日本の三大刺し子とも言われます。その庄内刺し子の原点とされるのが、山形県遊佐町に伝わる「遊佐刺し子」なのです。こぎん刺しと菱刺しは、麻生地の織り目の何本目をすくうかを数えながら刺していきますので、定規で測ったように正確な模様があらわされます。それに対して、遊佐刺し子は、基準線を縦線のみ引いて、線から線までの刺し目の数を刺し手が決めて刺し始めます。ですから、一目ごとの寸法にもいくらかの誤差が生じ、全体におおらかさを感じる模様を作ることになります。刺す人が違えば目数や段数も異なるわけで、結果として類を見ない文様の多様性をあらわすことになりました。
遊佐刺し子の保存と伝承のために「LLP遊佐刺し子ギルド」を組織する土門玲子さん、池田ちゑさん、桜庭あい子さん、そして「遊佐刺し子とその歴史」研究会のメンバー佐藤いづみさんにお話を伺うことができました。
遊佐町は、鳥海山の麓、日本海に面した小さな町ですが、山と海の幸に恵まれた平野の暮らしは、昔から他所ほどに貧しくはなかったのだそうです。綿花の育つぎりぎりの北端でもあり、遊佐刺し子は麻生地にかぎられず、綿布に施す刺し子として大きく発展しました。遊佐町特有の文様の多様性に、倹約や忍耐や真面目といった理由だけでは説明しきれない豊かな遊び心を感じてしまうのは、実はこういった背景があるからなのではないかとおっしゃられます。
小売価格: ¥2,090
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