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黒釉 マグカップ(大把手) 販売終了
商品コード:94451-05

左)94451-05黒釉 マグカップ(大把手)、右)94451-06黒釉 マグカップ(小把手)
商品仕様: 幅約10×直径約7.5×高さ約8cm 150cc 陶器 日本製
商品説明: 伊藤環さんによる新羅土器杯からの展開

福岡で「秋月焼・橘窯」を営む陶芸家の父を持つ伊藤環さんは、もともとはグラフィックデザインの道に進みたかったのだそうです。
と言いつつ陶芸を専攻した大学時代には、自己表現をめざしたオブジェ作りに没頭していました。
卒業と同時に、前衛陶芸家集団「走泥社」の創始者である山田光氏に師事すると、ひたすらろくろ挽きを修業することになりました。さらに滋賀県立陶芸の森の研修作家に選ばれたことで、国内外の作家と共に作品作りに打ち込み、多くの異なる価値観を体験することもできました。
こうして、アート作品に憧れを持ちながらも再び郷里へ戻り、生活のためのうつわ作りに取り組み始めます。
そんな折り、あるきっかけで唐津の陶芸家・中里隆氏の元で土こねなどの手伝いをする機会を得ました。そこで見たものは、今までとまったく別物の陶芸の世界でした。中里氏がろくろに向かい、次々と土を挽き上げていくその所作が、まるで舞を見るように美しいのです。
2週間つきっきりで過ごすうちに、今までの自分の作品がただの粘土細工のように思えてきました。そして、何にも縛られない自由自在な表現というのは、ここにあったと気づきました。
これを境に、うつわの中に、作った人の姿が見えると思うようになりました。オブジェであれほど表現したかった自己は、力まなくても自然に映ってしまうことだと知ったのです。
中里氏が古い唐津焼を手本としていたことも影響してか、古いものに目が行くようにもなりました。それは、焼物だけに留まらず、ガラスやほうろう、果ては錆びた金属や枯れた木片にまで至ります。
うつわの作家として進むべき方向が定まった伊藤さんは、貪欲なほどの吸収力でそれらのフォルムやテクスチャーを我がものにしていったのです。
ここにたどり着くまでのいくつもの出会いや経験が、一気に作品に昇華され始めたということなのでしょうか。切れのあるろくろと深みのある釉調、しかしながら、作りすぎない感じが伊藤さんのうつわの魅力だと思います。

ところが、当の伊藤さんはいつもあっけらかんとしていて、「ただ偶然の巡り合わせなんです。」とおっしゃられます。
「ひとつの縁が、不思議なくらいに次々と繋がって、こんなところへ流されて来てしまったというか、、。」
「現に今もその縁が繋がろうとしていて、実は、伊藤環の仕事とは別の、伊藤環の工房の仕事ということを考えて始めていたところに、岡山に移住することになって、それでさっそくこの話が来たのですよ。」
どういうことかよくよく聞いて見ると、伊藤環の工房で作られる量産品というものが出来ないかということなのです。
自分の工房内から生まれる無名の職人の仕事なのだけれど、そこにはちゃんと伊藤環の目と手が保たれていて、量産だからいつでも買い足しがきく、そんな良質のうつわがあるといいなと思っていたのだそうです。そうしたら、たまたまご近所に腕のある職人さんがいらっしゃって、いっしょに仕事を始めるチャンスを待っていたのだとか。ちょうどそこへ、倉敷意匠が新羅の写しの話を持って来たということだったのです。 
「工房の名前も決まっているのですよ。工房1+0(イチタスゼロ)って言うんです。」なるほど、『1+0』は、『ito』とも読めるということなのです!

ところで今回の新羅杯なのですが、のんびりとおおらかな造形ですから、1000年以上も昔の職人さんが作ったものですし、その日の気分でたまたまこういうフォルムに作れてしまったものだろうくらいに思っていました。
しかし、伊藤さんはおっしゃるのです。「写してみたから分かるのですが、たまたまではこのかたちは出来ないです。ゆったりとみえる口辺のろくろは、実はとてもシャープだし、削りのラインも絶妙、一見適当につけたような持ち手も絶対ここにしかありえないという位置にぴたりと決めているんです。やっぱり、同じものをいくつも作り続けた熟練技があってこそのフォルムだと思います。」
そう聞いてしまうと、やっぱりそうですよね。作り続けたから、力が抜けているのですよね。ほんとにすごいものは、すごく見えないのです。ああ、やっぱり古いものに太刀打ちしようすることは、並大抵のことではないですね。

さても、新羅杯のお手本を、伊藤環流に発展させた白釉と黒釉のコーヒーカップが、工房1+0の第1作目として完成いたしました。
ツヤを押さえた渋めの釉薬に覆われた新羅杯のフォルムは、その魅力を失わないままに保たれていますし、毎日の食卓に合い相応しいうつわが出来上がったのではないでしょうか。
新羅杯のために、調整を繰り返したこの釉薬は、使い込むほどにしっとりと育っていくはずだそうです。どんどん使って、ますます自分に馴染んでいく感じをお楽しみいただければと思います。
小売価格: ¥4,180
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陶器をろくろ台から離すとき、底部を糸を使って引き切ると、糸の回転によってこのような渦巻き模様が現れます。高台を削り出さず、あえて糸切り底を残しました。

サイズや形状は、意識的に揃いすぎないように作られています。「それぞれの微妙な差を楽しんでいただきたい。」

伊藤環
1971年 福岡県秋月生まれ。
1993年 大阪芸術大学工芸学科陶芸コース卒業。
    京都にて山田光氏(走泥社創始者)に師事。
1994年 滋賀県立陶芸の森にてオブジェを中心に作陶。
    その後帰郷し、橘窯で父と共に作陶。

2006年 神奈川県三浦市三崎に開窯。
2012年 岡山市に工房移転。

http://www.itokan.com